つぶやき第5回:ワイナートを振り返って Number1, 1999 冬号

ワイナートは日本でもよく読まれているワイナリーの雑誌で当時はまだ季刊誌だった。歴史あるNumber1はカルフォルニア特集である。99年だからまだ私がアメリカ在住のころでワインに目覚めたころなので懐かしい。

さて、中身はというとモンダヴィ、パッツ&ホール、スタッグスリーブ、ガロ、リッジ、アロウホ、シェイファーなど豪華メンバーの紹介。モンダヴィはこの頃から今で言うIOTで畑ごとに5分ごとの気温データを収集して役立てていたのだからすごい。今でこそやっとボルドーでもIoTの活用は普通になったが20年前というのだから、やはりモンダヴィは凄い貪欲さであった。

この頃のカルフォルニアワインはキャノピーマネージメント(簡単に言うと樹勢をコントロールしていくこと)中心から所謂テロワールに議論が移行していた時期でもある。同時にカルフォルニアワイン=高級ワイン志向に向かっていった時代でもある。まあそれでも当時は手が届く価格であったので一般の人でも有名なワインを飲めた時代でもあった。

ワイナートは残念なことにロバート・パーカーと同じくワインに100点満点を採用している。ロバート・パーカー(ワインアドヴォケイト)は50点の基礎点に色5点、香り15点、味わい20点、将来性10点としており、ワイナートもほぼ同じで基礎50点、色5点、内部的構造15点、内在的審美的価値と将来性15点で表現している。まともなワイン好きであればこの数字が無意味なことは分かりきっているのでここではそういうものだということにしておく。

さて肝心のブラインドテースティングは以下となっている

カベルネ部門

1位 アロウホ アイズリーヴィンヤード

2位 ダラ・バレー

同率2位 ハーラン・エステート

・・・ 今の小売価格でいうとそれぞれ5万、4万、12万程度か

ちなみに、カベルネブレンド(ボルドーブレンド)トップはスタッグス・リープワインセラーズ カスク23、ピノ・ノワールはエチュード、ジンファンデルはリッジのリットンスプリングスとなっており、それぞれの小売価格は3万、7000円、7000円。

オークションなどでしか手に入らないような(今は小売でも販売)アロウホ、ダラ・ヴァレー、ハーランが扱われているのは残念・・

小売価格の変化は以下となっているのが分かる。こう見るとボルドーの狂った投資による高騰と比較すると可愛い値段の移り変わりである。カルフォルニアワインも見直すべき時期が来ているかもしれない。

・アロウホ 200-300 ドル → 5万

・ダラ・バレー 150ドル → 4万

・ハーラン 250ドル → 12万

・スタッグスリーブ 2万→3万

・エチュード  35ドル → 7000円

・リッジ  3800円 → 7000円

August, 2019 Ken Hattori

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