ヴィンテージは収穫した年となります。ちなみにこの呼び方は英語なのでフランスのワインだとMilesimeとなります。有名なワイン産地であればヴィンテージチャートなるものが存在します。グッドヴィンテージとオフヴィンテージという言葉があり、ワインの本には基本的に以下のような説明が多いです。
・グッドヴィンテージは一般的に力強いため飲み頃まで時間がかかる
・グッドヴィンテージはオフヴィンテージより値段が高い
・オフヴィンテージは飲み頃が速いので、よい生産者を選べばオフヴィンテージのほうが得である
・オフヴィンテージ=おいしくないワインではない
などなど
で、結論からいうと我々のような素人がワインを選ぶときにヴィンテージチャートをみて選ぶべきかというとまず無視です。理由は簡単です。
1.そもそもそのワイン生産者のヴィンテージ違いなど分かるわけがないから意味がない。
イタリアのある素晴らしい発泡性ワイン(シャンパンみたいなやつ)の生産者のContrattoに訪問した際に、毎年収穫にいっておりヴィンテージの違いを完全にわかるおばあちゃんがいました。飲んだだけでその収穫がどのような年だったのかわかる人です。さて、このおばあちゃん、各ヴィンテージのContrattoのワインを何回試飲しているでしょうか?数百回です。つまり何十回も毎年のように試飲を繰り返さないとヴィンテージの違いなど判らない。断言してもいいですが、そのワインのヴィンテージ違いを把握できるのは生産者だけです。
2.ワインの飲み頃など誰も判らない
オフヴィンテージは早めに飲みごろになるというが早めって? 5年?10年? プロでも飲み頃はわからないので気にしても仕方ない。しかもワインの意味不明なところは飲み頃のカーヴは落ちて上がって落ちるからややこしい。つまり20年で最高潮の飲み頃ワインが仮にあたっとします。ですが、こいつは休眠期間があって最初の10年間はどんどんおいしくなるが、その次の5年間はすこしずつおいしくなくなってまた次の5年あがっていくというやつです。こんなの気にしててもしかたないですよね。
3.好みのワインを選ぶのは生産者であってヴィンテージではない
自分の好みに合わないワインを作っている生産者はどのヴィンテージを買っても自分の好みではない。もちろん例外はある。それは同じワイナリーの”名前”で所有者、作り方、作り手が変わる大手のワイナリーだけ。それが顕著にでるのが、ボルドーの有名シャトー。所有者がコロコロ変わるし、金儲けなのか本当にワインが好きで投資するのかなどそのタイミングで違う。あの有名なムートンもオーナーが一度もワイナリーに来ないなどの時期もあった。当然そんな時期のムートンなど美味しいわけがないのです。
4.そもそもヴィンテージチャートが存在しないものが多いのでわからない
単純にボルドーやブルゴーニュワインだけを飲み人なんていない。例えばシチリアのエトナやウンブリアなどのヴィンテージチャートなど、仮にあったとしても誰も見ないし気にしない。それは簡単で例に挙げたような産地はヴィンテージにより値段の上下がないし、イタリア人にとってヴィンテージの違いは個性とおもっているのでその仕分け自体もおかしいから
蛇足
あと誤解がないように記載しますが、醸造技術がまだなかったころ、特にステンレスは1970年代からですので、そのあたりの年代の前のワインは温度コントロールができなかった=発酵は神頼みでした。ちょっと寄り道をすると一定の温度に達しないとワインは発酵(砂糖が酵母にばくばく食われてアルコールになる)しないし、逆に温度が高すぎると華やかな香りとかがなくなっちゃてぼさっとしたワインになっちゃう。
よって、1960、70年代のワインを買うのであれば、ヴィンテージはとっても重要です。ちなみに有名なワイナリーは作っていない年もありますので要チェックしないと、偽物がごろごろしています