ワイン Tips! #11 初心者に優しいワインの楽しみ方のコツ “ラベルを読もう ボルドー編”

今回は非常に分かりにくいラベルについてお話しします。アメリカやオーストラリア、ニュージーランド、チリなどの国は分かりやすく、メルローとかソーヴィニヨンブランとかラベルに書いてあることが多いので消費者には分かりやすいものが多いと思います。一方でヨーロッパのワインは知っていないと分からなかったりするものも多く、初心者の方には意味不明なものが多い。

今回はボルドーのワインを例に取って説明します。いくつかのラベルを見ていくことで少しずつ身に付くと思います。

今回の例はこれです。ボルドーの場合は見るポイントは3つだけです。一番大きい字で書いてある”Chateau d’Almailac” シャトー・ダルマイヤックというのがワイナリーの名前です。通常はこのワイナリー名=ワインの名前となります。このワイナリー名とワインが一致しないケースは2ndとか3rdとかいうこともありますが、つまり一番良いやつはワイナリー名とワイン名が一致しており、それに満たないものはワイナリー名とワイン名は異なります。このシャトーはセカンドワインがないようですがシャトーマルゴーのセカンドワインはパヴィヨン ルージュ デュ シャトー マルゴー と言いますのでワイン名とワイナリー名が一致していないということです。これが例外です。

次にみるところがヴィンテージ、そしてその下の”Pauillac”という文字です。ここには大体村とか地域名が書いてあることが多く、この場合はポーイヤック村のワインということになります。

最後はGRANDS CRUS CLASSÉSというグラン・クル・クラッセ。これは格付けを意味しています。

ここまで説明するとわかっていただけたかと思いますが、予備知識がないとかなり理解するのが難しいですね。ただ読む、覚えることから始めないと分からないので読むということは重要です。1つ1つ説明を加えます。

1つ目のワイナリー名。フランス語がわからないと読めませんが、後ろを見ると有名なワイナリーは日本語表示してあるので大丈夫。

2つ目のヴィンテージ。作られた年度ということですが、ここから読み解くのは難しい。ヴィンテージリストたるものも存在しているが、良いワイナリーは良くない年でも良いものを作るのでここからワインの良し悪しを推測するのは難しい。

3つ目のポーイヤック村。ここはボルドーのメドック地方の村で有名だが車で10分も歩けば次の村に行くほど小さな村。そもそも初心者の方がポーイヤックを村と判断できるのか微妙。判断してもその場所のワインの特徴が分からなければここもあまり意味がない情報となる。

4つ目のGRANDS CRUS CLASSÉS。これはメドック地方の1855年に決められたメドックだけの格付け。61存在していて、今回のワインは5級と格づけられている。それもここからは読み取れない。

極め付けはワインの葡萄の種類。カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローなどが使われていることは大体想像ができるが比率によってだいぶ異なる。

結論から言うと、ボルドーのワインについては飲んでみて美味しい、気に入った場合はそのワイン名を覚えておく。そうするとそのワインはどこのワインで、ブレンドには何を使っているのか、比率はどうなのかを調べるようになる。そういうことを繰り返しておくとボルドーの赤ワインではどのあたりのワインが好きなのか傾向がわかってきます。

ワイン Tips! #10 初心者に優しいワインの楽しみ方のコツ “イタリアの土着品種赤葡萄編”

前回の白ブドウに引き続き、今回は赤ワイン用の土着品種を紹介する。前回も書いたが、すでに世界的有名な土着品種、サンジョベーゼやネッビオーロ種などは除く。

1つ目:フリウリ州のタッツェレンゲ。幻の品種で栽培の難しさなどもあり、この品種を扱っているワイナリーは数件となってしまった。名前の語源は舌を切るという意味でこれはタンニン、つまり渋みが強いことを意味する。よって飲み頃になるまでに最低でも7−8年は時間を要する。ただ、熟成がうまくいったタッツェレンゲはこれまでの赤ワインとは一線を画す素晴らしいワインとなる。

おすすめワイン:ラ・ヴィアルテというワイナリーのタッツェレンゲ。2013ヴィンテージからリゼルヴァの記載もあるが、中身はこれまでと同じものである。

2つ目:マルケ州のラクリマ。ラクリマクリスティ(キリストの涙)というワインがあるが、これはアリアニコなどの品種を使っており全くの別物なので注意が必要。マルケ州のラクリマの特徴はバラの香りがはっきりと感じられる。熟成により変化はほぼないためすぐに楽しめる。

おすすめワイン:ウマニ・ロンキのフォンテ・デル・レ・ラクリマ・ディ・モッロ ダルバ。長い名前だがウマニ・ロンキのラクリマは1種類しかないので、ラクリマとだけ覚えておけば良い。

3つ目:ウンブリアのサグランティーノ。これは何故かウンブリアでもモンテファルコという地域でしか栽培されない品種。特徴はなんといっても漆黒のような色と黒い果実の風味。若いうちは濃いだけだが、10年以上経過するとその素晴らしさは特筆すべき品種。この地域はトリュフの名産地でもあり、トリュフとの相性は抜群。

おすすめワイン:アルナルド・カプライのサグランティーノ ディ モンテファルコ 25 アンニ。サグランティーノの素晴らしい生産者、アルナルド・カプライのトップキュベである

4つ目:中部のアブルッツォ州のモンテプルチアーノ。この品種の特徴は果実味が豊かなところとバランスが良い。またコスパが素晴らしいところである。デイリーワインも飲みやすく美味しいが、丁寧に作られたモンテプルチアーノはすごい熟成を遂げる。ぜひ試してもらいたい

おすすめワイン:マシャレッリのヴィッラ ジェンマ モンテプルチアーノ ダブルッツォ。有名なワイナリーで作られる最高峰のモンテプルチャーノ。

5つ目:シチリアのネレッロ・マスカレーゼとネレッロ・カプッチョ。これらは類似した品種だが、シチリアのエトナ山の近郊で栽培されている。ブレンドされることが多い。特徴はまるでピノ・ノワールのような優美さと官能的な味わい。ピノ・ノワール(イタリアではピノ・ネロ)も栽培されているが、こちらの方がよっぽどエレガントなワインに仕上がることが多い。

おすすめワイン:イ ヴィニェーリ の ヴィヌペトラ。透明感があり、骨格もしっかりしているのにしなやかなワイン。

ワイン Tips! #9 初心者に優しいワインの楽しみ方のコツ “イタリアの土着品種白葡萄編”

今日はイタリアの土着品種について話を書く。イタリアワインの魅力といえばやはり土着品種の多様性と文化といえる。確かに国際品種も多く、素晴らしいボルドースタイルのワインやメルローなどのワインもあるが、土着品種の素晴らしさは他の国には存在しない楽しみ方の1つだと思う。イタリアでは2000種以上の土着品種が存在している。しかもややこしいのが亜種(兄弟分)の存在である。例えばマルヴァジアという白ブドウの品種がある。ただこれは地域によって個性は様々であり、単純にマルヴァジアといっても、たくさん存在する。サルディーニャ島ではマルヴァジア・ディ・サルディーニャ、フリウリ州はマルヴァジア・イストリアーナ、ローマのあるラツィオ州などでデイリーワインとしてよく利用されるのが、マルヴァジア・デル・ラツィオなどキリがない。つまり消費者側からすると単にマルヴァジアが好みと言っても、そのワインは多種多様で自分が想定していた味と違うこともしばしばあるからである。

今回はすでに国際的に有名なネッビオーロ種(バローロ、バルバレスコ)、サンジョベーゼ種(キャンティ、ブルネッロ)、ガルガネーガ種(ソアヴェ)、アリアニコ種(タウラージ)などは省いた形でオススメの品種をいくつか紹介するので何かの参考にしていただけると嬉しい限りである。今回は白葡萄の品種を4つほど紹介する。YouTubeでも土着品種を楽しむというシリーズで紹介しているのでそれも参考にしていただきたい。

1つ目はナポリのあるカンパーニャ州から”フィアーノ種”を紹介する。特徴は蜂蜜や白い花の香りとミネラル感となる。ただしあまり良くないフィアーノは香水たいで味もぼやけているので注意が必要。フィアーノ・ディ・アヴェッリーノ(アヴェリーノ県で作られたもの)と言われるワインであればあまりハズレはない。日本で購入できるおすすめワインは、ロッカ・デル・プリンチペというワイナリーのフィアーノ・ディ・アヴェッリーノである。

2つ目は北部のフリウリ州の”フリウラーノ”種を紹介する。その特徴はナッツのような香りと穏やかな酸味でワイン全体が柔らかいということである。女性に特に人気がある品種となっている。日本で購入できるおすすめワインはイル・カルピノというワイナリーのエクゾディアムというワインである。オレンジワインではあるが、フリウラーノの特徴をうまく表現している。

3つ目はリグーリア州のヴェラメンティーノ、ヴェラメンティーノはサルディーニャなどでも栽培されるが、おすすめはあくまでリグーリア州のヴェラメンティーノ種である。特徴はフレッシュな果実味と酸味、余韻にほろ苦さを感じるところで、リグーリア自体が海に面しているのが理由かどうかはわからないが、魚介料理にはピッタリな白葡萄品種である。日本で購入できるおすすめワインは、ルナエというワイナリーのヴェラメンティーノである。ルナエはいくつかヴェラメンティーノで作ったワインがあるがどれも素晴らしい。

4つ目は中部のマルケ州のヴェルディッキオという品種である。特徴は香りは柑橘系が主でドライなワインとなり、余韻に塩味を感じることも多い。樽で熟成をかけてもとても相性が良く長熟可能な白葡萄品種の1つである。日本で購入できるおすすめワインはウマニロンキというワイナリーのヴェルディッキオで、ワイン名は正式名所はプレーニオ ヴェルディッキオ デイ カステッリ ディ イェージ クラシコ リゼルヴァと長いのでプレーニオとだけ覚えていただければ良い。 

ワイン Tips! #8 初心者に優しいワインの楽しみ方のコツ “コルク vs. スクリューキャップ”

ワインのコルクとスクリューキャップ、同じ値段のものがあったとしたらどちらを選びますか?ある程度高いワインならコルクの方が雰囲気はでますよね。今回は少しコルクについて理解をしていただきたくお話しします。

ニュージーランドのワインはほぼ全てスクリューキャップです。これは環境というよりもワインの品質を一定にする目的があります。コルクは先日ワインTIPS#4でもお話しした通りブショネがどうしても付きまとうからです。あ、ここでいっているコルクは合成コルクではなく、本当の樫の木を使っている天然コルクです。

では環境についてはどうでしょうか?イメージは木を使っているからもしかしたら伐採などしていると思われる方もいますが、実際は環境にやさしい。そもそもコルクの原材料となる樫の木は樹齢が高いものを対象に10年ごとに剥いで使うので別に木を伐採するわけではない。つまり環境問題でコルクが無くなることはない。逆にスクリューキャップの方がアルミを生産しており土に戻らないのでどうかなと個人的には思います。

消費者にとって一般的なコルクとスクリューキャップの値段差は2倍と言われています。10円台がスクリューキャップですのであまりインパクトはありません。やはりブショネがあるかないかが大きな分かれ目となりますが、数万円のワインでスクリューキャップはちょっとという方も多いかなとは思います。

熟成についてはどうでしょうか?これも間違った認識の人がいますね。コルクは酸素を取り入れるから熟成に向いているという人がいますが、スクリューキャップは完全密閉ではありません。酸素を通しますのでこちらも熟成が進みます。おそらくはコルクよりゆっくりかもしれませんが、何度も良い熟成をしたスクリューキャップのワインを味わっているので間違い無いと思います。

さて、実はブショネがでないコルクもポルトガルのコルク生産最大手アモリム社が作っています。値段はもちろん高いですが、高級なワインはここのものを使っている場合も多く、ブショネの心配がほぼないものとなっています。将来的にはコルクのブショネがなくなることもあるかもしれません。