スーパトスカン(トスカーナ州のすげえワイン)という言葉だが、元々はサッシカイアがボルドータイプのワイン、つまり土着品種の葡萄以外のカベルネやメルローを自家用に作っていたところから始まっている。このときはまだ分かる。自由な発送で土着品種に執着せず、良いワインを生産する。特にサッシカイアは有名だけではなくその実力は素晴らしく15,000円であれば間違いなく買いの一本(去年から値上がって18,000円付近となってしまったが、それでもボルドーの有名シャトーに10万出すくらいであればコスパは良い。飲んでいない方は絶対飲むべき一本の1つ。
しかしながらスーパトスカンは有名無実化したといってもよい。つまり法律を外れた葡萄を使えば何でもかんでもスーパートスカンと言われる。
法律は例えばキャンティ・クラシコ。主な決め事だけでもたくさんある
- 品種(サンジョベーゼ70-100%), その他トスカーナで認定されている品種。白ぶどうは10%まで・・
- 栽培地域
- 標高は700Mまでとかヘクタールあたりの収穫量
- 熟成期間や販売時期
要は法律に沿ってキャンティを作るのも大変なことでしかもそれだけのことをしても、一部例外を除いてせいぜい10−30ユーロでしか売れない。ところがスーパトスカンといった途端、良い品質であれば値段が跳ね上がるのだ。
トスカーナのワイナリー巡りで本当に思ったが、トスカーナはやはりサンジョベーゼだと思う(もちろん例外はたくさんある)。例えばワイン好きなら知っていると思うが、ブランカイアというスイス人が成功を収めたワイナリがある。ちなみその名残か従業員もフランス語とドイツ語を操っていた・・・ このブランカイアのフラッグシップがスーパトスカンのイル・ブルー(THE 青)でカベルネやメルローを混ぜ込んだワインだ。小売価格は8000円前後。一方でキャンティ・クラシコリゼルヴァという法律に沿って作ったワインの小売価格は4000円前後。前者も美味しいが後者はやはりこれぞトスカーナ!というワインで素晴らしい。
話が長くなってしまったが、消費者側からすれば何を重視するのかによって違うから何とも言えないが、個人的にはイタリア中を周ってきたのでその土地を思い出すようなワインを選ぶ傾向にある。
September 2019, Ken Hattori