前回の白ブドウに引き続き、今回は赤ワイン用の土着品種を紹介する。前回も書いたが、すでに世界的有名な土着品種、サンジョベーゼやネッビオーロ種などは除く。
1つ目:フリウリ州のタッツェレンゲ。幻の品種で栽培の難しさなどもあり、この品種を扱っているワイナリーは数件となってしまった。名前の語源は舌を切るという意味でこれはタンニン、つまり渋みが強いことを意味する。よって飲み頃になるまでに最低でも7−8年は時間を要する。ただ、熟成がうまくいったタッツェレンゲはこれまでの赤ワインとは一線を画す素晴らしいワインとなる。
おすすめワイン:ラ・ヴィアルテというワイナリーのタッツェレンゲ。2013ヴィンテージからリゼルヴァの記載もあるが、中身はこれまでと同じものである。
2つ目:マルケ州のラクリマ。ラクリマクリスティ(キリストの涙)というワインがあるが、これはアリアニコなどの品種を使っており全くの別物なので注意が必要。マルケ州のラクリマの特徴はバラの香りがはっきりと感じられる。熟成により変化はほぼないためすぐに楽しめる。
おすすめワイン:ウマニ・ロンキのフォンテ・デル・レ・ラクリマ・ディ・モッロ ダルバ。長い名前だがウマニ・ロンキのラクリマは1種類しかないので、ラクリマとだけ覚えておけば良い。
3つ目:ウンブリアのサグランティーノ。これは何故かウンブリアでもモンテファルコという地域でしか栽培されない品種。特徴はなんといっても漆黒のような色と黒い果実の風味。若いうちは濃いだけだが、10年以上経過するとその素晴らしさは特筆すべき品種。この地域はトリュフの名産地でもあり、トリュフとの相性は抜群。
おすすめワイン:アルナルド・カプライのサグランティーノ ディ モンテファルコ 25 アンニ。サグランティーノの素晴らしい生産者、アルナルド・カプライのトップキュベである
4つ目:中部のアブルッツォ州のモンテプルチアーノ。この品種の特徴は果実味が豊かなところとバランスが良い。またコスパが素晴らしいところである。デイリーワインも飲みやすく美味しいが、丁寧に作られたモンテプルチアーノはすごい熟成を遂げる。ぜひ試してもらいたい
おすすめワイン:マシャレッリのヴィッラ ジェンマ モンテプルチアーノ ダブルッツォ。有名なワイナリーで作られる最高峰のモンテプルチャーノ。
5つ目:シチリアのネレッロ・マスカレーゼとネレッロ・カプッチョ。これらは類似した品種だが、シチリアのエトナ山の近郊で栽培されている。ブレンドされることが多い。特徴はまるでピノ・ノワールのような優美さと官能的な味わい。ピノ・ノワール(イタリアではピノ・ネロ)も栽培されているが、こちらの方がよっぽどエレガントなワインに仕上がることが多い。
おすすめワイン:イ ヴィニェーリ の ヴィヌペトラ。透明感があり、骨格もしっかりしているのにしなやかなワイン。