ワイン Tips! #7 初心者に優しいワインの楽しみ方のコツ “スーパータスカンはこれを狙え”

スーパトスカン(トスカーナ州のすげえワイン)という言葉だが、皆様はどのワインを思い浮かぶだろうか?サッシカイア、オルナレイラ、マッセートなどだろうか。マッセートなどは10万近く高騰して価格と品質がアンバランスな状況のスーパータスカンも多い。

元々の始まりは戦後に故マリオ・インチーザ・デッラ・ロケッタ侯爵がサッシカイボルドータイプのワインを決め事(DOCやDOCGなどの法律)にとらわれずに土地の個性を生かすために作ったもので、シャトー ラフィット」のカベルネ・ソーヴィニヨンを植えたことは有名。つまりサッシカイアの誕生。

既定の法律にとらわれないということは、ジャンル的にはスーパタスカンはテーブルワイン。つまり法律を外れた葡萄を使えば何でもかんでもスーパートスカンと言われる。法律の例で言うと例えばトスカーナのキャンティクラシコ

法律は例えばキャンティ・クラシコ。主な決め事だけでもたくさんある

  • 品種(サンジョベーゼ70-100%), その他トスカーナで認定されている品種。白ぶどうは10%まで・・
  • 栽培地域
  • 標高は700Mまでとかヘクタールあたりの収穫量
  • 熟成期間や販売時期

要は法律に沿ってキャンティを作るのも大変なことでしかもそれだけのことをしても、一部例外を除いてせいぜい10−30ユーロでしか売れない。ところがスーパトスカンといった途端、良い品質であれば値段が跳ね上がるのだ。

さて本題だが、オススメのスーパトスカンを紹介する。コロナと戦争によって、ここ数年は輸送費高騰と為替のダブルパンチで、1.5ー2倍以上は値上げとなっているまず、コスパを考慮して2万程度までのワインであれば以下!3本紹介。

1本目:ルーチェ。かろうじて2万円前後をキープか!1万ちょっとだったころが懐かしいが、それでも値打ちある一本。ワイナリー名はルーチェ・デッラ・ヴィーテ(Luce della Vite)。人生に光を!というすごい名前だが、ご存知の方も多いと思う。あのアメリカの伝説、ロバート・モンダヴィとイタリアトスカーナの大御所、フレスコバルディがタッグを組んで作ったワイナリー。美味しくないはずがない。品種はカベルネとサンジョベーゼのブレンド。

2本目:カベルネフラン100%のパレオ!数年前まではこの品質で1万ちょっとはありえないコスパだったが、今は仕方がないが、それでも1万台キープ。ワイナリーは、レ・マッキオーレ。カベルネフランの奥深さが味わえる1本です。

3本目:カステッロ・ディ・ボルゲリ!あの、サッシカイア、オルナレイラの貴族の本家本元。ボルゲリの象徴の「ボルゲリ城」があり、1700年から葡萄畑があったという由緒高いワイナリー。品種はカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フランというボルドースタイル。この素晴らしいワインが1万円前半で手に入れられるのは幸せなことです。

値段関係なし・・に飲みべしスーパートスカン 2本紹介。

1本目はサッシカイア。カベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネフランのボルドーブレンドの究極の1本。これを飲まずしてスーパタスカンは語れない。2万台で購入可能。

2本目はシラー100%で作るスクリオ。これもワイナリーはレ・マッキオーレ。シラーの概念を完全に覆させる素晴らしいワイン。3万円台で購入可能

ワイン Tips! #6 初心者に優しいワインの楽しみ方のコツ “ブレンドにチャレンジ”

ブレンドワインというとどの生産地を思い出すだろうか?やはり、ボルドーではないのでしょうか。実際にシャトーを回ると本当に根強い文化なのかみんなブレンドが大好き。カベルネは骨格、メルローは柔らかさ、プティベルドはスパイス・・・などなど。ボルドーは歴史があるからこの文化は絶対に捨てられない。例えば、今更シャトー・マルゴーがメルロー100%のワイン、カベルネ100%のワインなど販売ができるわけがない。シャトーマルゴーといえばシャトー・マルゴー、たった1つのワインでブレンドされたワイン。

そのボルドーのあるシャトーでブレンドの体験をした。その時は4種類 若木で作ったカベルネ・フラン、古木で作ったカベルネ・フラン 若木で作ったメルロー、古木で作ったメルロー。さて、このワイナリでの体験は4種類を単体でテースティングをしてからブレンドしてみます。カベルネ・フランは骨格とスパイス。メルローは丸く、果実味があるので、ブレンドの仕方でまったく違うワインになります。若い木の葡萄は明るく、酸味が強いが総じて飲みやすいワインになり、古木の葡萄は旨みとコクをもたらします。どちらが好きかは個人の好みです。

さて、実際に家でやってみてはどうでしょうか?計量カップを準備してブレンド遊びをします。ワインはチリの名門コノスルのビシクレタシリーズでおすすめです。スーパーでも売っているし1000円以下で買えるのと、それぞれの品種の特徴をうまく表現しています。カベルネ・ソーヴィニヨン、メルローがまずは良いと思います。単体でまずテースティングしてからさまざまな比率で試してみてはいかがでしょうか?メルローが少し混ざっただけで味が変化するので面白いですよ。どちらの比率が高いか好みも把握できます

そうすれば、カベルネ主体のブレンド、メルロー主体のブレンドワインが並んでいた時に選択するヒントにもなりますよ。

あと、もっと遊ぶのであれば、コノスルのビシクレタシリーズのシラーとマルベックも入れてみるとさらに興味深い結果がでますので、さらにチャレンジしたい方はお試しください。

ワイン Tips! #5 初心者に優しいワインの楽しみ方のコツ “オレンジワインはフリウリワインを狙え”


オレンジワインというものが最近流行している。白ワインでもなく赤ワインでもなくロゼでもない新しいジャンルということで、この言葉は2004年にイギリスで始まったらしい。要は簡単に言うと赤いワインの製法で作った白ワイン。つまり、赤ワインのように発酵時に葡萄の果皮を果汁と一緒に醸すことで色がついて複雑なワインとなる。

ただ、この製法の定義だとオレンジ色でないものもオレンジワインとなる。例えばシャルドネなどをこの製法を使うと色は黄金色で見た目はただの白ワインである。そのため、私の友達は”オレンジ”という言葉を使わずに、”マチェラーティ シリース”と言っている。日本人が分かるようにいうと、マセラシオン、つまり果皮浸透を使った一般的な赤ワインの製法のことを指している。こうすれば色はともかく市場に対して嘘をついていないことになる。

さて、オレンジワイン起源はジョージア(グルジア)と言われている。クヴェブリ(壺)を埋めてその中でワインを作るという特殊な製法だ。今オレンジワインのトップを走るイタリア、フリウリ州の有名なワイナリー、Gravner (グラブネル・グラブナー)もジョージアのこの製法をイタリアに持ち帰って、2001年から同じような製法でワインを世に出して、有名となっている。発行に使っているのはアンフォラという壺だが製法はジョージアのそれと同じ。

オレンジワインは有名となったので多くの種類が世界中から販売されているが、どれを選ぶのが正解なのか

間違いなくおすすめはフリウリワイン!その品質は他のオレンジワインを寄せ付けない。大体レストランなどに営業に行くと、ほとんど口を揃えてオレンジワインは良い印象がないという。つまり美味しくないオレンジワインが巷に溢れかえっているのが現状といえる。

では日本で間違いのないフリウリのオレンジワインの生産者を紹介する。これは実は フリウリの銘醸地”コッリオ”の”オスラヴィア”という小さな場所に集まる生産者たちとなります。

綺麗なタイプで果実味豊かなオレンジワインを作る生産者:イル・カルピノ (Il Carpino)、プリモシッチ(Primosic) 

癖のあるオレンジワインを作る生産者: グラブナー (Gravner) – ワインというより、ブレンデーを想像した方がいいです。ラディコン (Radikon) – ワインというよりシェリーを想像したほうがいいです。

ちなみに、注意事項。ラディコンは日本で自然派で有名ですが、全員自然派です。この言葉は曖昧ですが。惑わされないでくださいね。(フリウリでは、そうでないところを見つけるほうが難しいです。)

ワイン Tips! 初心者に優しいワインの楽しみ方のコツ#4 “レストランのテースティングは勇気が大事”

レストランでボトルワインを頼んだ時にテースティングをすることがあると思いますが、なぜでしょうか?美味しいかどうか?好みにあっているかどうか?でしょうか?もちろん違います。最初にテースティングするのはワインが健全かどうかを確認するためで決してあなたの好みを確認しているわけではありません。

それではどうやって健全かどうかを確認するのか?ワイン用語では難しい言葉でブショネとかよく言います。ちなみにこれはフランス語です。日本語のワイン用語はフランス語が基本となっています。イタリア語では現地ではタッポと一言で言います。タッポはコルクの意味なので、本当はサポーレディタッポ(コルクの匂い)とかで表現するのでしょうが、現地ではタッポで通じます。

さて話が逸れましたが、ブショネとはTCA(トリクロロアニゾール)という難しくいうと化合物だそうです。コルクを作る木 (樫)を製造するときに混入されるかはたまた元々あったかは別ですが、かなりの確率でブショネはあります。人や本によって確率は違いますが、数%は間違いなくあります。

さて厄介なのがこのブショネの香り。ひどい場合は誰でもわかりますが、ほとんどの場合が微かなブショネでおそらく経験や訓練していなければほとんどわかりません。あまり美味しくないとか、香りが良くないとかって少し思ってもそれをブショネと断定するのはプロや余程の人でないと無理です。

で、ほとんどの人がわからないのにどうやってレストランで判断するのでしょうか?簡単です。少しでも不快、または変だなと思った瞬間に勇気をもって交換をしましょう。ソムリエ・ソムリエールに確認してもらうなどの行為はだめです。意見は聞いてもいいですが、自分の判断で交換すべきです。

日本のレストランではあまり交換している風景を見かけませんが、海外では結構な頻度であります。私も2連続で交換したときもありますし、ワイン生産者の人は鋭いので、僅かなブショネでも交換をしています(ちなみにこのケースでは私はわからないことが多い・・)。

結論:せっかく高い*ワインを頼んでいるのに変だなって思うことはありません。レストランのテースティングは勇気を持ち、素直におかしいと思ったら交換です。

*例外はありますが、安いワインは基本合成コルクやスクリューキャップを使っているのでブショネが発生するような天然コルクを使っているワインは基本お高めのワインなのです。