ワイン Tips! #9 初心者に優しいワインの楽しみ方のコツ “イタリアの土着品種白葡萄編”

今日はイタリアの土着品種について話を書く。イタリアワインの魅力といえばやはり土着品種の多様性と文化といえる。確かに国際品種も多く、素晴らしいボルドースタイルのワインやメルローなどのワインもあるが、土着品種の素晴らしさは他の国には存在しない楽しみ方の1つだと思う。イタリアでは2000種以上の土着品種が存在している。しかもややこしいのが亜種(兄弟分)の存在である。例えばマルヴァジアという白ブドウの品種がある。ただこれは地域によって個性は様々であり、単純にマルヴァジアといっても、たくさん存在する。サルディーニャ島ではマルヴァジア・ディ・サルディーニャ、フリウリ州はマルヴァジア・イストリアーナ、ローマのあるラツィオ州などでデイリーワインとしてよく利用されるのが、マルヴァジア・デル・ラツィオなどキリがない。つまり消費者側からすると単にマルヴァジアが好みと言っても、そのワインは多種多様で自分が想定していた味と違うこともしばしばあるからである。

今回はすでに国際的に有名なネッビオーロ種(バローロ、バルバレスコ)、サンジョベーゼ種(キャンティ、ブルネッロ)、ガルガネーガ種(ソアヴェ)、アリアニコ種(タウラージ)などは省いた形でオススメの品種をいくつか紹介するので何かの参考にしていただけると嬉しい限りである。今回は白葡萄の品種を4つほど紹介する。YouTubeでも土着品種を楽しむというシリーズで紹介しているのでそれも参考にしていただきたい。

1つ目はナポリのあるカンパーニャ州から”フィアーノ種”を紹介する。特徴は蜂蜜や白い花の香りとミネラル感となる。ただしあまり良くないフィアーノは香水たいで味もぼやけているので注意が必要。フィアーノ・ディ・アヴェッリーノ(アヴェリーノ県で作られたもの)と言われるワインであればあまりハズレはない。日本で購入できるおすすめワインは、ロッカ・デル・プリンチペというワイナリーのフィアーノ・ディ・アヴェッリーノである。

2つ目は北部のフリウリ州の”フリウラーノ”種を紹介する。その特徴はナッツのような香りと穏やかな酸味でワイン全体が柔らかいということである。女性に特に人気がある品種となっている。日本で購入できるおすすめワインはイル・カルピノというワイナリーのエクゾディアムというワインである。オレンジワインではあるが、フリウラーノの特徴をうまく表現している。

3つ目はリグーリア州のヴェラメンティーノ、ヴェラメンティーノはサルディーニャなどでも栽培されるが、おすすめはあくまでリグーリア州のヴェラメンティーノ種である。特徴はフレッシュな果実味と酸味、余韻にほろ苦さを感じるところで、リグーリア自体が海に面しているのが理由かどうかはわからないが、魚介料理にはピッタリな白葡萄品種である。日本で購入できるおすすめワインは、ルナエというワイナリーのヴェラメンティーノである。ルナエはいくつかヴェラメンティーノで作ったワインがあるがどれも素晴らしい。

4つ目は中部のマルケ州のヴェルディッキオという品種である。特徴は香りは柑橘系が主でドライなワインとなり、余韻に塩味を感じることも多い。樽で熟成をかけてもとても相性が良く長熟可能な白葡萄品種の1つである。日本で購入できるおすすめワインはウマニロンキというワイナリーのヴェルディッキオで、ワイン名は正式名所はプレーニオ ヴェルディッキオ デイ カステッリ ディ イェージ クラシコ リゼルヴァと長いのでプレーニオとだけ覚えていただければ良い。 

ワイン Tips! #8 初心者に優しいワインの楽しみ方のコツ “コルク vs. スクリューキャップ”

ワインのコルクとスクリューキャップ、同じ値段のものがあったとしたらどちらを選びますか?ある程度高いワインならコルクの方が雰囲気はでますよね。今回は少しコルクについて理解をしていただきたくお話しします。

ニュージーランドのワインはほぼ全てスクリューキャップです。これは環境というよりもワインの品質を一定にする目的があります。コルクは先日ワインTIPS#4でもお話しした通りブショネがどうしても付きまとうからです。あ、ここでいっているコルクは合成コルクではなく、本当の樫の木を使っている天然コルクです。

では環境についてはどうでしょうか?イメージは木を使っているからもしかしたら伐採などしていると思われる方もいますが、実際は環境にやさしい。そもそもコルクの原材料となる樫の木は樹齢が高いものを対象に10年ごとに剥いで使うので別に木を伐採するわけではない。つまり環境問題でコルクが無くなることはない。逆にスクリューキャップの方がアルミを生産しており土に戻らないのでどうかなと個人的には思います。

消費者にとって一般的なコルクとスクリューキャップの値段差は2倍と言われています。10円台がスクリューキャップですのであまりインパクトはありません。やはりブショネがあるかないかが大きな分かれ目となりますが、数万円のワインでスクリューキャップはちょっとという方も多いかなとは思います。

熟成についてはどうでしょうか?これも間違った認識の人がいますね。コルクは酸素を取り入れるから熟成に向いているという人がいますが、スクリューキャップは完全密閉ではありません。酸素を通しますのでこちらも熟成が進みます。おそらくはコルクよりゆっくりかもしれませんが、何度も良い熟成をしたスクリューキャップのワインを味わっているので間違い無いと思います。

さて、実はブショネがでないコルクもポルトガルのコルク生産最大手アモリム社が作っています。値段はもちろん高いですが、高級なワインはここのものを使っている場合も多く、ブショネの心配がほぼないものとなっています。将来的にはコルクのブショネがなくなることもあるかもしれません。

ワイン Tips! #7 初心者に優しいワインの楽しみ方のコツ “スーパータスカンはこれを狙え”

スーパトスカン(トスカーナ州のすげえワイン)という言葉だが、皆様はどのワインを思い浮かぶだろうか?サッシカイア、オルナレイラ、マッセートなどだろうか。マッセートなどは10万近く高騰して価格と品質がアンバランスな状況のスーパータスカンも多い。

元々の始まりは戦後に故マリオ・インチーザ・デッラ・ロケッタ侯爵がサッシカイボルドータイプのワインを決め事(DOCやDOCGなどの法律)にとらわれずに土地の個性を生かすために作ったもので、シャトー ラフィット」のカベルネ・ソーヴィニヨンを植えたことは有名。つまりサッシカイアの誕生。

既定の法律にとらわれないということは、ジャンル的にはスーパタスカンはテーブルワイン。つまり法律を外れた葡萄を使えば何でもかんでもスーパートスカンと言われる。法律の例で言うと例えばトスカーナのキャンティクラシコ

法律は例えばキャンティ・クラシコ。主な決め事だけでもたくさんある

  • 品種(サンジョベーゼ70-100%), その他トスカーナで認定されている品種。白ぶどうは10%まで・・
  • 栽培地域
  • 標高は700Mまでとかヘクタールあたりの収穫量
  • 熟成期間や販売時期

要は法律に沿ってキャンティを作るのも大変なことでしかもそれだけのことをしても、一部例外を除いてせいぜい10−30ユーロでしか売れない。ところがスーパトスカンといった途端、良い品質であれば値段が跳ね上がるのだ。

さて本題だが、オススメのスーパトスカンを紹介する。コロナと戦争によって、ここ数年は輸送費高騰と為替のダブルパンチで、1.5ー2倍以上は値上げとなっているまず、コスパを考慮して2万程度までのワインであれば以下!3本紹介。

1本目:ルーチェ。かろうじて2万円前後をキープか!1万ちょっとだったころが懐かしいが、それでも値打ちある一本。ワイナリー名はルーチェ・デッラ・ヴィーテ(Luce della Vite)。人生に光を!というすごい名前だが、ご存知の方も多いと思う。あのアメリカの伝説、ロバート・モンダヴィとイタリアトスカーナの大御所、フレスコバルディがタッグを組んで作ったワイナリー。美味しくないはずがない。品種はカベルネとサンジョベーゼのブレンド。

2本目:カベルネフラン100%のパレオ!数年前まではこの品質で1万ちょっとはありえないコスパだったが、今は仕方がないが、それでも1万台キープ。ワイナリーは、レ・マッキオーレ。カベルネフランの奥深さが味わえる1本です。

3本目:カステッロ・ディ・ボルゲリ!あの、サッシカイア、オルナレイラの貴族の本家本元。ボルゲリの象徴の「ボルゲリ城」があり、1700年から葡萄畑があったという由緒高いワイナリー。品種はカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フランというボルドースタイル。この素晴らしいワインが1万円前半で手に入れられるのは幸せなことです。

値段関係なし・・に飲みべしスーパートスカン 2本紹介。

1本目はサッシカイア。カベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネフランのボルドーブレンドの究極の1本。これを飲まずしてスーパタスカンは語れない。2万台で購入可能。

2本目はシラー100%で作るスクリオ。これもワイナリーはレ・マッキオーレ。シラーの概念を完全に覆させる素晴らしいワイン。3万円台で購入可能

ワイン Tips! #6 初心者に優しいワインの楽しみ方のコツ “ブレンドにチャレンジ”

ブレンドワインというとどの生産地を思い出すだろうか?やはり、ボルドーではないのでしょうか。実際にシャトーを回ると本当に根強い文化なのかみんなブレンドが大好き。カベルネは骨格、メルローは柔らかさ、プティベルドはスパイス・・・などなど。ボルドーは歴史があるからこの文化は絶対に捨てられない。例えば、今更シャトー・マルゴーがメルロー100%のワイン、カベルネ100%のワインなど販売ができるわけがない。シャトーマルゴーといえばシャトー・マルゴー、たった1つのワインでブレンドされたワイン。

そのボルドーのあるシャトーでブレンドの体験をした。その時は4種類 若木で作ったカベルネ・フラン、古木で作ったカベルネ・フラン 若木で作ったメルロー、古木で作ったメルロー。さて、このワイナリでの体験は4種類を単体でテースティングをしてからブレンドしてみます。カベルネ・フランは骨格とスパイス。メルローは丸く、果実味があるので、ブレンドの仕方でまったく違うワインになります。若い木の葡萄は明るく、酸味が強いが総じて飲みやすいワインになり、古木の葡萄は旨みとコクをもたらします。どちらが好きかは個人の好みです。

さて、実際に家でやってみてはどうでしょうか?計量カップを準備してブレンド遊びをします。ワインはチリの名門コノスルのビシクレタシリーズでおすすめです。スーパーでも売っているし1000円以下で買えるのと、それぞれの品種の特徴をうまく表現しています。カベルネ・ソーヴィニヨン、メルローがまずは良いと思います。単体でまずテースティングしてからさまざまな比率で試してみてはいかがでしょうか?メルローが少し混ざっただけで味が変化するので面白いですよ。どちらの比率が高いか好みも把握できます

そうすれば、カベルネ主体のブレンド、メルロー主体のブレンドワインが並んでいた時に選択するヒントにもなりますよ。

あと、もっと遊ぶのであれば、コノスルのビシクレタシリーズのシラーとマルベックも入れてみるとさらに興味深い結果がでますので、さらにチャレンジしたい方はお試しください。