ワイン Tips! #13 初心者に優しいワインの楽しみ方 “2つのタイプのキャンティ”
今回はキャンティクラシコについてお話しします。トスカーナ地方の有名なワインです。詳細の話は”楽しいイタリアンワイン講座”をみていただくとわかると思いますが、今回はキャンティクラシコと一言にいってもなぜ大きく違うものがあるのかというところをお話しして、おすすめのワインを記載します。
まず初めに基本的な知識としてキャンティ、とキャンティクラシコは法律が違います。ただ細かい話はどうでも良く覚えていただきたいのはキャンティよりキャンティクラシコのほうがちょっと良いワインですということ。
なぜ味の幅がキャンティクラシコで大きいのかというと、もちろん土壌の違いはありますが、それは詳細を勉強したい方においておいて、味に影響があるのはそのブレンド比率です。法律ではサンジョヴェーゼ 最低80% その他黒葡萄 最大20%。この20%が大きい。20%も他のブドウを入れるとその影響力が多く、サンジョベーゼらしさはもちろんあるが、ワイン自体のタイプは大きく変わってきます。ここでは2つのタイプを紹介します。
1つ目はエレガント系で昔のキャンティを知っている方であればそれに近いもの。
もう1つは濃厚でボディが太めなキャンティ。アメリカ人がとても好むタイプです。実際アメリカ人が所有しているキャンティのワイナリーを訪れたことがありますが、キャンティクラシコというより、メルローぽい野太いワインダットのを覚えています。
最初のタイプの代表的的なワインがカステッロ ディ フォンテルートリというワイナリーのキャンティクラシコ。ブレンド比率はサンジョベーゼ90%とサンジョベーゼが主体でマルヴァジア・ネーラとコロリーノという土着品種のブレンド。サンジョベーゼの可愛らしさとエレガント系の味わいです。
濃厚でボディが太めなキャンティの代表格は、ブランカイアのキャンティクラシコ”リゼルヴァ”です。リゼルヴァなのでキャンティクラシコより格付けは上ですが、メルローが20%入っているのワイン自体のキャラクターが濃厚となっています。なお、ブランカイアはキャンティクラシコはサンジョベーゼのみで作っており可憐なワインとなっているので、ブランカイアのキャンティクラシコとリゼルヴァの飲み比べも面白いと思います。全体的にメルローを使用しているものは後者のタイプになることが多いです。
美味しいワイン#200 イタリア白ワイン 生産者:イル・カルピノ (Il Carpino) ワイン名:ヴィーニャ・ルンク マルヴァジア 2020
美味しいワイン#199 イタリア:スパークリングワイン 生産者:ヴィッラ・クレスピア (Villa Crespia) ワイン名:フランチャコルタ “ミッレ” ブリュット 2015
ワイン Tips! #12 初心者に優しいワインの楽しみ方 “ボルドーワインの基本編”
先日、ボルドーワインのラベルの読み方をお話ししましたが、今回はボルドーについて基本的な話をいたします。細かいことをいうときりがないので、今日はメドックとサンテミリオンだけ覚えていただければと思います。
メドック地方は有名なマルゴーがある場所で”左岸”と言われています。これは地図から見るとジロンド川といのが2つの支流に別れていてそこの左側を左岸といっています。これがメドックです。
右岸で一番有名なのがサンテミリオンという場所となります。
大きな違いはメドックのワインはバランスが取れている筋肉質のワインが多いです。一方サンテミリオンは甘い(砂糖の甘いではなく果実味が豊かと言う意味)アタックのワインが多いと言うことです。
メドックの主な品種はカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローと覚えていただいてOKです。
一方サンテミリオンは基本メルローとカベルネフランが主体です。
細かいことを話すとキリがないですが、基本これらのブドウ品種の使い方と土壌が明確に異なる赤ワインを生成しています。そのため、初心者の方はまずどちらのワインが好みか覚えればさらに細かいところを勉強していきたいと思う方もいるかと思います。理由はメドックといっても場所によってスタイルがさまざまだからです。
さて、日本で購入できるおすすめのワインをいくつかご紹介するのでぜひ飲み比べてください。5000-10000円くらいが良いと思います。円安、燃料費高騰の昨今の状況から正直5000以下で美味しいボルドーワインを探すのは困難だからです。注意点を2つ。メドックとサンテミリオンは両方とも格付けというものが存在しますが、全く別物です。2つ目、”セカンド”と呼ばれているワインは推奨しません。正直セカンドというものを飲んで、そのワイナリーの判断はまったくできません。
メドックでおすすめなワイン
1本目:シャトー カマンサック これはいわゆるメドックの格付け5級のワインです。カベルネ・ソーヴィニヨン60%, メルロー40%と比較的メルローの比率が高いのでバランスの取れた柔らかいワインで飲みやすいと思います。
2本目:シャトー ペデスクロー こちらもメドックの格付け5級のワインですが、とにかく近年素晴らしいワインでエレガントです。ポーイヤックと呼ばれる村のワイナリーです。ポーイヤックのワインは比較的カベルネ・ソーヴィニヨンの比率が高いのですが、こちらは3割以上メルローが入っています。
3本目:シャトー ラグランジュ こちらはメドックの格付けの3級のワインでサントリーが所有していることでも有名です。サン・ジュリアンという村のワイナリーです。典型的なメドックのワインと言っても良いと思います。
サンテミリオンのおすすめワイン
1本目:クロ ラ マドレーヌ 有名なオーゾンヌなどのシャトーの近くにあるワイナリーでメルロー、カベルネフランを使っている典型的なサンテミリオンのワインです。
2本目:シャトー カノン ラ ガフリエール サンテミリオンの駅の隣に畑があります。こちらもメルロー、カベルネフランを使っており、滑らかなワインです
正直サンテミリオンのワインは値段があまりにも高騰していて1万以下だとあまりチョイスはないですが、2本とも典型的なのでこれが好きであればサンテミリオンのワインは好みだと思います。
美味しいワイン#198 シャトー・ド・モンフォーコン/Chateau de Montfaucon “Châteauneuf-du-Pape Rouge 2015”
ワイン Tips! #11 初心者に優しいワインの楽しみ方のコツ “ラベルを読もう ボルドー編”
今回は非常に分かりにくいラベルについてお話しします。アメリカやオーストラリア、ニュージーランド、チリなどの国は分かりやすく、メルローとかソーヴィニヨンブランとかラベルに書いてあることが多いので消費者には分かりやすいものが多いと思います。一方でヨーロッパのワインは知っていないと分からなかったりするものも多く、初心者の方には意味不明なものが多い。
今回はボルドーのワインを例に取って説明します。いくつかのラベルを見ていくことで少しずつ身に付くと思います。
今回の例はこれです。ボルドーの場合は見るポイントは3つだけです。一番大きい字で書いてある”Chateau d’Almailac” シャトー・ダルマイヤックというのがワイナリーの名前です。通常はこのワイナリー名=ワインの名前となります。このワイナリー名とワインが一致しないケースは2ndとか3rdとかいうこともありますが、つまり一番良いやつはワイナリー名とワイン名が一致しており、それに満たないものはワイナリー名とワイン名は異なります。このシャトーはセカンドワインがないようですがシャトーマルゴーのセカンドワインはパヴィヨン ルージュ デュ シャトー マルゴー と言いますのでワイン名とワイナリー名が一致していないということです。これが例外です。
次にみるところがヴィンテージ、そしてその下の”Pauillac”という文字です。ここには大体村とか地域名が書いてあることが多く、この場合はポーイヤック村のワインということになります。
最後はGRANDS CRUS CLASSÉSというグラン・クル・クラッセ。これは格付けを意味しています。
ここまで説明するとわかっていただけたかと思いますが、予備知識がないとかなり理解するのが難しいですね。ただ読む、覚えることから始めないと分からないので読むということは重要です。1つ1つ説明を加えます。
1つ目のワイナリー名。フランス語がわからないと読めませんが、後ろを見ると有名なワイナリーは日本語表示してあるので大丈夫。
2つ目のヴィンテージ。作られた年度ということですが、ここから読み解くのは難しい。ヴィンテージリストたるものも存在しているが、良いワイナリーは良くない年でも良いものを作るのでここからワインの良し悪しを推測するのは難しい。
3つ目のポーイヤック村。ここはボルドーのメドック地方の村で有名だが車で10分も歩けば次の村に行くほど小さな村。そもそも初心者の方がポーイヤックを村と判断できるのか微妙。判断してもその場所のワインの特徴が分からなければここもあまり意味がない情報となる。
4つ目のGRANDS CRUS CLASSÉS。これはメドック地方の1855年に決められたメドックだけの格付け。61存在していて、今回のワインは5級と格づけられている。それもここからは読み取れない。
極め付けはワインの葡萄の種類。カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローなどが使われていることは大体想像ができるが比率によってだいぶ異なる。
結論から言うと、ボルドーのワインについては飲んでみて美味しい、気に入った場合はそのワイン名を覚えておく。そうするとそのワインはどこのワインで、ブレンドには何を使っているのか、比率はどうなのかを調べるようになる。そういうことを繰り返しておくとボルドーの赤ワインではどのあたりのワインが好きなのか傾向がわかってきます。
美味しいワイン#197 Ciacci Piccolomini d’Aragona/チャッチ・ピッコロミニ・ダラゴナ “Brunello di Montalcino 2012”
ワイン Tips! #10 初心者に優しいワインの楽しみ方のコツ “イタリアの土着品種赤葡萄編”
前回の白ブドウに引き続き、今回は赤ワイン用の土着品種を紹介する。前回も書いたが、すでに世界的有名な土着品種、サンジョベーゼやネッビオーロ種などは除く。
1つ目:フリウリ州のタッツェレンゲ。幻の品種で栽培の難しさなどもあり、この品種を扱っているワイナリーは数件となってしまった。名前の語源は舌を切るという意味でこれはタンニン、つまり渋みが強いことを意味する。よって飲み頃になるまでに最低でも7−8年は時間を要する。ただ、熟成がうまくいったタッツェレンゲはこれまでの赤ワインとは一線を画す素晴らしいワインとなる。
おすすめワイン:ラ・ヴィアルテというワイナリーのタッツェレンゲ。2013ヴィンテージからリゼルヴァの記載もあるが、中身はこれまでと同じものである。
2つ目:マルケ州のラクリマ。ラクリマクリスティ(キリストの涙)というワインがあるが、これはアリアニコなどの品種を使っており全くの別物なので注意が必要。マルケ州のラクリマの特徴はバラの香りがはっきりと感じられる。熟成により変化はほぼないためすぐに楽しめる。
おすすめワイン:ウマニ・ロンキのフォンテ・デル・レ・ラクリマ・ディ・モッロ ダルバ。長い名前だがウマニ・ロンキのラクリマは1種類しかないので、ラクリマとだけ覚えておけば良い。
3つ目:ウンブリアのサグランティーノ。これは何故かウンブリアでもモンテファルコという地域でしか栽培されない品種。特徴はなんといっても漆黒のような色と黒い果実の風味。若いうちは濃いだけだが、10年以上経過するとその素晴らしさは特筆すべき品種。この地域はトリュフの名産地でもあり、トリュフとの相性は抜群。
おすすめワイン:アルナルド・カプライのサグランティーノ ディ モンテファルコ 25 アンニ。サグランティーノの素晴らしい生産者、アルナルド・カプライのトップキュベである
4つ目:中部のアブルッツォ州のモンテプルチアーノ。この品種の特徴は果実味が豊かなところとバランスが良い。またコスパが素晴らしいところである。デイリーワインも飲みやすく美味しいが、丁寧に作られたモンテプルチアーノはすごい熟成を遂げる。ぜひ試してもらいたい
おすすめワイン:マシャレッリのヴィッラ ジェンマ モンテプルチアーノ ダブルッツォ。有名なワイナリーで作られる最高峰のモンテプルチャーノ。
5つ目:シチリアのネレッロ・マスカレーゼとネレッロ・カプッチョ。これらは類似した品種だが、シチリアのエトナ山の近郊で栽培されている。ブレンドされることが多い。特徴はまるでピノ・ノワールのような優美さと官能的な味わい。ピノ・ノワール(イタリアではピノ・ネロ)も栽培されているが、こちらの方がよっぽどエレガントなワインに仕上がることが多い。
おすすめワイン:イ ヴィニェーリ の ヴィヌペトラ。透明感があり、骨格もしっかりしているのにしなやかなワイン。